酵母とはなんぞや?大手メーカー参入の影響って?などなど、興味深い話題がいっぱいです。
Q.オープンファーメンターと密閉式の違いっていうか、利点と欠点は?お互いにやったことがないところでやっているわけじゃないですか。そのへんで感じたこととか、大きな違いというのはあまり表の話になったことがないので詳しく教えてください。
【長谷川】
今ご質問があったのは、オープンファーメンターというのは、発酵タンクがオープン。要は開放式のタンクになっているか、密閉式のタンクになっているかということです。
どうしてあくらビールでオープンファーメンターを採用しているかというと、実は密閉式のタンクというのは、ここ最近です。ここ最近といっても100年くらいはあるのですけど(笑)
ビールは紀元前の2000年からと言われていますから、もうすでに4000年以上の歴史がある飲み物だと言われています。
その中で、たとえば殺菌だとか菌だとかいったものが発見されたのは、せいぜいここ100年から200年くらいの話ですね。冷蔵の技術もそうです。
当社の社長がビール造りは、いわゆる昔からのやり方でビールを造りたい。
本来は今、こういう開放式のタンクというのは空気にふれるリスクもありますし、ほとんど採用されていないのが事実上です。
最近個人で始められているマイクロブルワリーを除くと、1000Lくらいの規模でやっているのは東北だと当社だけ。大きなところで有名なのは富士桜高原ビールさん、あとは伊勢角さんですね。といったところが採用してますけど、ここ最近で新しくタンクを入れているのは必ずしも開放ではないと聞いています。
ただ、この良いところは、そのまま発酵の状況が見えるんですよね。
このとおり、ちょっと膨らんでいるところがあるんですけど、その膨らんでいるところはまさしく発酵しているという。
これは本当に発酵の始めのところで、これからどんどん泡の盛り上がりがすごく大きくなっていきます。
もちろん酵母たちは僕の目から肉眼では見えないわけなんですけども、間違いなく目の前で発酵しているのがわかります。
それと炭酸が抜けますから、ビールの中に炭酸が入らない。圧力が入らないというのもあります。
たとえばドライホップみたいなものは、ここにホップを浸してホップの香りを付けるというやり方もします。
必ずしも今のメジャーなスタイルではないのですけど、目に見てわかるというか、目にみながら発酵しているのがわかるという形。どちらがいいかというと、たぶん密閉のほうが安全、安心と言いますか。
たとえば誰かが入ってきて、ここに何かを入れると間違いなく大変というリスクが間違いなくあるときにはある。今こういう時代ですので、誰が何をするかわからない。というのがあるんですけど、こういうような発酵方法です。
Q.酵母が発酵して二酸化炭素を出すから酸素が入らないという原理だと思うのですけど、最初の時というのは空気に触れているわけですよね。酵母入れたての時には。それはもうそういうものとされているのでしょうか?
【長谷川】
そうです。そういうことです。
【佐藤】
発酵の時は逆に酸素が必要。細胞分裂のために。
うちもこれをやりたいと思ったんですよ。
日本酒の造り方にも近いのですけど、日本酒は必ず面(つら)を見るという表面を見なければいけないのですけど、酵母の表面を見れる。
僕は結構開けちゃうんですよね。うちのビールのやつ。で、孝紀という僕の後輩に怒られるんですよね。やめてください!と怒られるのですけど、よく開けてドライホッピングとかします。
ドイツに行くと本当にこんな感じでやっていて、ブルーマスターが、僕ら見に行ってこんな格好なんですけど良いんですか?と。そんなに酵母弱くないよと言っていました。長谷川くんのところに行ったら凄い綺麗だったので。ただ、うちだとまだ無理かな(笑)
この間、第3弾の「いぶりエール」をやった時には、こそっといぶりがっこを入れて来きました。3切れくらい(笑)そういうのは冗談として、面白いですよね。
とはいえ、ちょっとガス圧は心配になりますよね。密封していないので、ナチュラルカーボネーションはやりずらいかな。
なんかいいよねこれ。
【長谷川】
ありがとうございます。
【岡】
オープンファーメンターは実際初めて見まして、それまでは普通のファーメンターしか見てなかった。密閉タンクですと酵母も添加するとき、密閉した状態で炭酸ガスで押してやってタンクの中に入れてやるというのが私たちのやりかたなんですけど、オープンファーメンターは上が開いてるので、上からざばっと入れる。
我々は空気に触れないように使う容器もお湯とアルコールで全て殺菌してやるが、オープンファーメンターはざばっと入れるので、ちょっとそれが衝撃的でした。
麦汁に酸素を入れるのもインラインで我々はやるのですけど、これに関してはインラインではなく、そのままジャバジャバというかたちでやるので、かなり衝撃的な仕込みの方法でしたね。
【吉田】
そうですね。私もびっくりしたのは酵母はそんなに弱くないと。
自分でもそうは思っていたのですけど、実際酵母を扱う時は殺菌殺菌とうちらも気にするのですけども、長谷川さんがこうやっていて、うちらもつなぎとか着ていましたけども、このままでいいの?って聞いたら、大丈夫だよ!と言われて。
こないだ岡さんのところで仕込んだときも、うちらのと同じような密封タンクだったので言ってるんですけども、大丈夫だ心配するなよと言われて。
そんなものなのかなーと思って。で、実際に雑菌が入るわけではないですし、酵母って実際細胞分裂をどんどんしていって強いものなので、大丈夫なんだなぁって。
なので、あまり気を使いすぎなくても良いのかなと。
【佐藤】
いや、気を使ってるとおもうよ。
【吉田】
気は使っているんだけども、うちらは異常に気を使っている。
【佐藤】
気を使っているよ。なに言ってるんだよ(笑)
Q.雑菌はどう管理って、どうやっているのでしょうか?
【長谷川】
雑菌の管理?
【佐藤】
雑菌は管理しない。入れないようにする(笑)
管理はあまりしないですね。
【吉田】
部屋が別にあります。仕込み室の中に完全に戸が閉まっている状態で、別室に配管を使って入れています。
【佐藤】
うちだと面白いものにワイルドイーストというのがあって、自然発酵なんてそうなんですけど、干し柿から直接酵母をとる。いくつかの酵母を一緒に入れて発酵させてビールに入れちゃうんですよ。でも、酸味が出たりすることもあるんですけど、酵母の発酵温度を管理することで、どれがのびてくるかとか、pHも変わってくるので、意外と酵母の管理をすると面白い味になって。よく孝紀と実験して、捨てるものも結構あったりして。
Q.東北魂ビールの第4弾はベルジャンウィートだと思うんですけど、酵母に対してこだわりってあるのでしょうか?
【佐藤】
まず、第4弾はベルジャンウィートではないですよね(笑)
【岡】
第4弾はベルジャンペールエール。さきほども言いましたとおり、私自身ベルジャンというおおまかなスタイルをやったことがなかったので。普通のドイツとかアメリカのエール系とどういうふうに発酵度とか変わってくるのか、過程、温度帯ですね。香りの出方とかものすごく興味がありました。
酵母は修道院系のアビィ酵母を使用しています。今朝、工場に行ってきたんですけど、かなり華やかな香りのベルジャン独特の心地よい酸味のあるような香りがしてきました。
【佐藤】
酵母の違いは?これは吉田くんに。
【吉田】
うちのは普通のラガーイーストを使ってます。ビール酵母の場合は何回か使っていくんですけど、今回、岡さんのところは新しい酵母を使っています。
そのときあるタイプだったりとかやっています。
【長谷川】
何を造るかって考えた時に、原料もそうですけど、どのスタイルを造るのかということと酵母の選択は密接に関係しているわけです。
エールにしようか、ラガーにしようかというのは、同じ原料を使っただけでも、皆さんの口に入るときの感じ方はまるっきり違うものになるわけですね。
ですから、4社が集まる中で、自分たちがやったことが無いものをというようなところで、やっていくわけなんですけど。ラガーをやったことがないとか。
あとは、皆さんがどのように飲んで欲しいかっていうところを最終的に考えて酵母というのを選択します。使ったことあるないってのは、誰もいままで使ったことがないものではなく、必ずどこかで使ったものを、そこのビール屋でやってみようという形なのです。その中でいろいろと勉強していきたいというようなことで酵母は選択しています。
Q.今、ビールの勉強をしています。酵母はそこまで心配しなくても弱くないとおっしゃっていましたが、そもそも酵母は何に弱くて、どんな環境に耐えれるのか。おばあちゃんは酵母は体にいいんだよと言っていたのを覚えているのですが、そもそも酵母とはなんぞやと。
【佐藤】
いい質問です。みなさん聞いてください。
酵母とは宇宙です。
ひとつの細胞がいろんなものを生みだして。味、香り、アルコール、そういったものを生みだしていく宇宙でございます。そこらへんについて詳しいことを長谷川さんにお願いします。
【長谷川】
酵母というのは、ビール酵母だとか日本酒の酵母だとか、いろいろなものがあります。
実は身近にあるものなのです。そのへんにある花にも酵母はありますし、昔、日本酒は蔵付きの酵母という部屋の中にずっと住み着いている酵母なんてものがあったわけですが、そもそも酵母って何よ?って言うと、甘味を食べて二酸化炭素とアルコールを生成する。
【吉田】
食べ物の副産物として二酸化炭素とアルコールをつくる。
【長谷川】
それが酵母です。僕らは何をやっているかというと、酵母がアルコール発酵しやすい環境を作ってやるのが僕らの仕事です。麦汁といわれてる、いわゆる麦芽からでんぷんを糖に変えて、酵母が食べやすい糖を作ってやるのが一つの大きな仕事です。
ですので、日本酒などもそうなのですけど、日本酒はお米だけではでんぷんを糖に変えることができないので、麹を使うという形になるのですが、ビールは麦芽が持っているものだけで、糖を作ることができます。お酒を作るのには非常に適した原料なのですよね。
そのビール酵母には、上面発酵だとか下面発酵だとかという、その後のテイストに影響するものもありますし、酵母によってはたとえば10%のビールができちゃうと、それ以上は発酵できないよってのもあります。逆に15〜6%のアルコールの中でも糖を食べて発酵するというものもあります。
ベルギービールなどは高アルコールのビールができますけども、僕らが普段使っている酵母だと、だいたい10%くらいまでは発酵できないかもしれないですね。
第4弾で使ったベルギーの酵母は12%までアルコールを作ることができるというふうな酵母です。ただそれも、きちんとした麦汁というものを作る。その仕込みというのがきちんとできるというのにかかってきて、途中でアルコールが6%までいって、本当は7%までしたいけど、6%で酵母が動かなくなってしまうということもあるんですね。
ですので、みんななんとなく楽しそうに仕込みをやっているのですけど、そのうちの僕と何人かはマジメにやっているということです(笑)
【佐藤】
付け加えるとですね、今、酵母を知らないというツッコミが入りましたので(笑)
実は僕、大学時代ずっと微生物学をやっていた男でございます。
酵母って何に強いか弱いかではなくて、酵母ってどこにでもあるのです。うちはいろんな種類の酵母を使っていますね。
強いかどうかじゃなくて、僕らがどういう味にしたいかによって条件をかえなきゃいけないんですよ。
たとえば温度を高くすると、エステルって香りが出しやすくなるんですけど、それがビールにとって良いか悪いかは酵母ひとつひとつによって違うんですよね。
適正の温度と適正のpHとか、あと濃度っていうのが重要になってきます。
Q.酵母がたくさんあるっていう?
酵母は簡単に言うと単細胞の生物なのです。それが麦汁っていう、簡単に言うとお菓子の中に酵母を入れて、それを食べて、細胞分裂して増えていくのをビールといいます。どんどん増えていって、そのときに炭酸ガスとアルコールと香りをだしてくれる。酵母の種類によって違うのですよね。
さっきの、酵母が環境を気にするっていうのは、その酵母以外にも他の雑菌が入って、糖を食べるときがあるのですよ。
それで、他の雑菌が入って、僕たちの大切な酵母よりも、そっちのほうが成長しちゃうとビールにならなかったり、ビールから悪い香りがしたりということがあるので、自分の目的とする酵母がきちんと成長するように管理するのが僕らの仕事です。
わかりやすいでしょ?
結構、東北魂で一番仕事をしない男なのですけど(笑)
ありがとうございます。
酵母については、味噌の観点から。。。
【岡】
味噌に関してはですね。味噌のほうは、本当に?(笑)
味噌は大豆のたんぱく質を食べてアミノ酸を出すのが味噌の酵母です。大豆も同じく麹のプロテアーゼとアミラーゼで糖を出します。それが味噌の甘味と旨味になります。
仙台味噌の特徴としましては、大豆のたんぱく質を味噌酵母が食べてアミノ酸を出した時にメラノイジンというものを出しまして、その後にカルボニル反応というものがありまして、味噌特有の赤みが出る。
この赤みがさしているのが仙台味噌の特徴です(笑)
【吉田】
皆さんでやっていない行程になると、うちの場合は全体の麦汁の量に対して酵母の入れる量を一定にしたいというのがありまして、毎回遠心分離で測って酵母の含有率を一定にさせるような作業をしています。なるべく発酵を一定にさせたい。
あと、私は広島で酵母の酒類総合研究所で調べてきたのですけど、空気中には酵母って今現在も皆さんのまわりにいるものなのですけど、キラー酵母といって悪い酵母。その酵母を入れない。それに勝てるものだったりとか、いろんなものがあるので注意して使わないといけないし、自然酵母でもキラー酵母がまざっていたりすると大変なことになって、結局ビールにならなくて、逆にお腹をこわしたりとか。
発酵はするんですよ実際。発酵はするのですけど、それがキラー酵母だと体に害をおよぼす可能性があるというのは勉強してきました。
だいたい4日くらいで細胞分裂って一回していくので、うちらでも毎回顕微鏡で見てますけども、細胞分裂しているところは教科書くらいでしか見ていない。
Q.酵母の話の続きなのですけど、表に出せる範囲の話で良いのですけど、酵母の世代交代ってどれぐらいでやっていますか?世代交代すると発酵のバランスとか変わるじゃないですか。
【吉田】
福島路ビールの場合ですと、基本的にはドイツのほうからペースト状で輸入して、一回発酵させます。良かったら、そのまま秋田今野さんという酵母の培養してくれるところに送ってマイナス80度で冷凍保管していただいて、それを徐々に解凍してもらって、うちの専用の酵母ということで培養していただいています。
うちは一桁ですね。7回、8回くらいまで使っていくような形です。それで特に香りのつくもの、ヴァイツェンだとかは変わってきたりとか、弱くなってきたりだとかします。
あと、今回岡さんところでもやりましたけど、はじめに酵母を起こしてあげる。
酵母が自分のところの家に来て、そこの麦汁を食べて発酵するように、一週間くらい前にとって、自分のところの麦汁を食べさせて、元気に一回細胞分裂させてから使うようにしています。
【佐藤】
うちは酵母の種類は一番このなかで多いと思うのですよ。自然発酵ビールの酵母は結構使いまわししてます。というのも、自然酵母の場合は毎回、香りが環境によって変わっちゃうので、50回くらい使いますね。
孝紀と僕とでも造り方が全然違います。
13年一緒にやっている後輩なんですけど、僕は13回くらいで変えたくなるんですよ。というのは、危険、もし途中で変なのが入っちゃうと、代継ぎしていうるちに、そっちの変なのが増えてきたら怖いということで、13回くらいで変えるんですけど、孝紀はxx回くらい使っちゃう。これは天通さんから教わったらしくて。
へたらないですね。へたらないかどうかは、僕がチェックしているんですけど、孝紀大丈夫みたいですけど、僕はこの間はちょっとやだなーって言ったんですけど。
あともうひとつは、一回ごと捨てる奴もある。たとえば、福香という桜のビールは凄く発酵力が弱いので。もともとビール酵母じゃないんですよ。
ビール酵母ってサッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)なんですね。福香ビールは、トラルスポラ・デルブルッキ(Torulaspora delbrueckii)っていうドイツでパン作りなんかに使う酵母なのです。それをビール使っているので、ちょっと無理があるのですよ。
なので一回使うと次は発酵が弱くなるし、発酵も実際一回造るために100Lで一回ビールを作って、それを1000Lに入れるという造り方をしないと4%まで行かない。
結構、手間がかかってますね。
【長谷川】
あくらビールの場合はだいたい4回から5回くらいですね。酵母をつかいまわすと、やはりキャラクターが変わってくると僕は信じてます。
それと、夏場と冬場で、どのくらい使うのかってのもあります。
とくにうちの場合は、オープンファーメンターという、さきほどの開放タンクなので、酵母にストレスがかからないはずです。
通常、炭酸の圧がかかってる中で発酵しなければならないわけですけど、うちは炭酸の圧がかからず、彼らが自由に動きまわれる状況になってますから、酵母には非常にいいかもしれない。ただ、酵母というのは過酷な環境になると香りを出すとも言われていて、果たしてどういう状況が良いのかというのは、僕らもまだ手探りな状況です。酵母に負荷がかからない、ストレスがかからなくても、夏場はあまり多くは使わない。
【佐藤】
じゃあ、味噌で(笑)
【岡】
味噌はまあ。うちのビールは、ラガー酵母とヴァイツェン酵母はドイツのヴァイエンシュテファンというところから創業当初酵母を輸入しまして、その酵母でピルスナー=ラガー系とヴァイツェンを一回仕込んで、それで抜いた酵母を秋田にある秋田今野さんのほうに菌株として取っていただきまして、冷凍保存してもらって、必要な時に、時期によるのですけど9乗から8乗まで酵母を増やしてもらって、うちは使ってます。
エールに関してもアメリカのほうの酵母を使ってます。
使い回しに関しては、だいたい3回から4回使いまわすようにはしています。
一番最初に使った酵母よりは、2回、3回目のほうが糖の分解は早いですね。
香りののりかたも全然違ってくるので。
酵母のほうも2回目、3回目のほうが慣れてくるといいますかね。それは如実にわかるような感じがします。
Q.今後のビジョンは?
【佐藤】
この4人で新しいアイドルユニットを作って。もういいですね(笑)
今回凄く嬉しかったのは、東北魂ビールの第4回のときに、たまたま前日にみんなで打ち合わせをして、飲みに行くのですよ。
飲みに行ってもいろんな話をするんですよね。
仕込みの話以外にも、麦芽をどこから買ってるとか中の話をするんですけど。
そのときやくらいビールの若い子が、たまたま?わざと待ってた?
3軒目のところに一人座っていて、マスターさんだけが航さんたちいつ来るんですか?と、俺ももう年だから3軒目まで行けないと言ったら、来てくださいみたいな感じになって行ったら、まじめな格好で座ってたね。
もと警察官のかたが居て、彼が次の日も見に来ていいですか?と言って。
岡さんもそうだったんですけど、僕ら3人でやってきたときに、メールがいきなりきて入っていいですか?と。
ぜひ来てくださいということでやっていたので、どんどん若い人たちとか、いろんな人たちが来て。
毎回いろんなところに行って造るのもしんどいので(笑)大変だったんですよ。
【吉田】
仙南から仙台の街まで車で一時間ですよ。
【佐藤】
JRで一時間半ですよ。夜1時まで飲んでいて、朝5時に起きて工場に行くのですよ。
【岡】
お湯を温めてますから。
【佐藤】
なるべくですね、3社は駅から近いところにあって。
でも、そういう若い子たちが来ているので、そういう人たちとやっていくのは嬉しいことなのです。
僕らの目的は、さっきも言ったとおり、商品を売るというのは目的ではないのですよ。
東北魂ビールの目的は、東北のビールが美味しくなるように造るのが本来の目的で、それぞれの勉強の仕方が違うので、やっぱりそれぞれが勉強したことを出して教えあう場というのをつくる。
僕のビールの師匠にずっと言われていたのが、ヨーロッパとかは何百年も前から造っている。で、キリンさんとかでも100年だと。僕らはビールが改正になってからまだ20年程度ですから、どちらかと言うと赤ちゃんみたいなものなんですよね。チそうすると、どんどんチャレンジしていかなければいけない。
ということで、僕もビールを立ち上げたばかりの頃は、売れなくて売れなくて苦労していたので、自分で造って、自分で売って、また戻ってきてみたいな感じをずっとやっていたので、そういうのも改善していって、東北魂ビールというお祭りみたいなのを使いながら、みんなでそれぞれ醸造技術を上げていこうというのが本来の目的です。
若い子たちとはひとまわり違うけど、僕の中ではまだまだ若いと思っている(笑)
そういうことをやれるといいな。
僕の先輩で小松さんていう56、7歳くらいの大先輩もいらっしゃいますので、そういう人たちと色々勉強していけるといいなと考えてますけど、他の3人がどう思っているかはわかりません(笑)
【吉田】
皆さんいろんな企業があると思うのですけど、こんなに仲良く技術を惜しげなく出すという業界って珍しいと思うのです。
私も皆さんから言われるのが、こんなに10年も20年もかけてきた技術を、ぽんぽんぽんとこないだもみんなで言っている。オープンにするのは珍しい業界だなと。
私はいい業界だと思います。
Q.大手の圧力みたいなのは、皆さんどうお考えですか?
【佐藤】
大手の圧力?こないだ、それの取材がきて熱く語りました。
熱く語って3行にしか雑誌になっていない。そういう枠じゃないということで。
僕は大手さんが来ても、大手さんってあまり意識してないんですよ。
というのは、僕らのビールって、僕も色々と悩むことがあって、僕にビールを教えてくれるグアムでビールを造っている男の人が居て、話に行ってたりした時に思ったのですけど、僕らって個性があるものを造っているじゃないですか。
個性があるものをどんどん造っていって、彼らがクラフトビールに参入しますといっても、どうしても工場の規模で言うと、皆さんが美味しいって買えるところを狙っていくと思うのですよね。
そうではなくて、エッジがとがったものをどんどん造っていきながら、その中で自分たちも楽しむというのがビール造りだと思いますし。
クラフトビールの定義ってこれから大切になってくると思うのですけど、僕の中で思うクラフトビールの定義は、前まではクラフトビールというのは醸造者の顔が見えるというのがクラフトビールだとよく言っていたのですけど、工場長っていうのはちゃんと居ますので、顔は見えるんですけど。
僕が思うのは、顔が見える+自分が造りたいビールを皆さんに提案できるというのがクラフトビールの良さだと思うのですよね。
だから、どんなに大手さんがクラフトビールに参入してきたとしても、それは会社の方針で造らなければいけない。
でも、僕らの場合は、僕の場合はかなり変なのをいっぱい作ってますので。
この前は、どくだみの根っこでビールを造りましたからね。
そういうのもやったり、本当にいろんなことがやれるっていうのが、クラフトビールだと思うので、あくまで共存というか、住み分けというか、多分どこまでいっても平行線なんじゃないかなと思うのですよね。
ただその中で、気をつけなければいけないのが、僕らが技術が落ちてしまったら、クラフトビールとしての価値は本当に無くなる。
僕ら高いじゃないですか。だけど、不味いといったら、地ビールを立ち上げたときと一緒なので、高いけどでもあそこのビールを飲みたいよねと言われる。また航さんのつくった考えは面白いよねとか共感できるのがクラフトビールの本質だと思います。僕はそっちのほうを突き詰めていけば良いのかなと思っています。
僕のまわりも拡大しているクラフトビール会社が多くて、僕自身も結構焦っていた時期があったのですけど、こないだそういうのも含めてある人に会いに行って、色々と話していたら、感動してしまって。もう一回、地に足をつけてビールを造ろうと今やっているので。
東北魂はそういう意味では、ひとの工場を使って好きなことができるので、すごくいいです。岡くんにもはやく発泡酒を造れと。
そんな感じで僕はクラフトビールはまだまだいけると思いますし、どこにいってもいいと思ってます。大丈夫だと思います。信じています。
【吉田】
ただ、うちらあまり気にはしていないですよね。たぶん皆さんが思うほど、うちらは全然気には。
【佐藤】
世の中の動きをあまり知らない東北人。
【長谷川】
そんなことはないですよ。
【佐藤】
世の中の動きより明日の天候だね。
【吉田】
週末のイベントのときの天気だけは一日2回もチェックするからね。
【佐藤】
じゃあ、まとめは長谷川さんに。
【長谷川】
最後にですね、この企画はただ僕らがやりたいからといってできたわけではない。
いろんなかたのご協力を得て、皆さんに来ていただいて、今日盛大にやらせていただきました。
WateringHoleさん
TokyoBeerWeekさん
これからも東北のビールを含めた色んなものを皆さんご覧になっていただいて、ぜひお飲みいただけたらと。
本日はありがとうございました。
最後に皆さんと乾杯したいと思います。
【吉田】
みなさんグラスはよろしいですか?
本日は東北魂ビールトークセッション vol.1 in WateringHoleにお集まりいただき、ありがとうございます。
【佐藤】
vol.2ありますよ!東北で。
【吉田】
うちらが企画しているイベントも夏に向けてどんどん開催されますので、ぜひそちらにも足を運びください。
第4弾、けやき広場で飲めます。ぜひよろしくお願いします。
成田さん、こちらでも繋いでいただいて。ここでも飲めます。
じゃあ乾杯したいと思います。乾杯!