2015/04/05(日) at WateringHole
いわて蔵ビール:佐藤航
あくらビール:長谷川信
福島路ビール:吉田真也
仙南クラフトビール:岡恭平
目次
【長谷川】
本日は雨の中、お集まりいただきありがとうございます。まず、皆さんグラスをお持ちですので、東北魂ビールプロジェクトの代表でもある、いわて蔵ビールの佐藤航さんから乾杯をしたいということで、よろしくお願いします。
【佐藤】
皆さんこんにちは。雨の中すみません。この東北魂という新しいアイドルユニットのお披露目会に来ていただきまして(笑)あとでうちのメインボーカルから新曲が(笑)
冗談はさておき、去年から僕ら東北の4社が集まって、実質1年目は3社でやっていたんですけど、4社で集まって美味しいビールを作ろうと。技術交流をしながら何かやろうと言いつつ、ビールを作っては飲んで楽しんでいたが、イベントはやっていなかった。
今回初めて皆さんと一緒に楽しい時間を過ごせると思います。
最初の乾杯だけ皆さんと一緒にやりたいと思いますので、よろしくお願いします。
みんなで乾杯したいと思います。乾杯!
【長谷川】
まずお前たち誰だよ?ということで佐藤航社長以外の自己紹介をしたいと思います。まずは南の方から。福島路ビールの吉田さんからお願いします。
【吉田】
福島路ビールの吉田と申します。いつもお疲れさまです。
今回、航社長がやっている一関のビールのイベントで声をかけていただきました。
第4弾を今週月火で仕込みまして、順調に発酵も進んでいるところであります。
今年も福島ビアフェスが7月にあるのですけども、私は三線の弾き語りをします。言わないと私もなかなか練習しないので、ぜひ福島にも足を運んでください。よろしくお願いします。
【佐藤】
うちのメインボーカルですから。メインボーカルでやらせてもらってます(笑)
【長谷川】
今年から参加した仙南クラフトビール。宮城県の岡くん。
【岡】
仙南クラフトビールの岡と申します。今日はありがとうございます。
前回の11月にやりました、長谷川さんのところの「いぶりエール」の時から参加させて頂いてます。個人的にビールの業界に入ってから日もおさないので、三社の皆様から醸造技術を吸収しながら、より良いものを更に作っていこうと思っています。
こないだ仕込みました「サマーブルーミングエール」も、今朝分析してきまして、順調に発酵もしていますので、皆さん楽しみにしていてください。
今日はよろしくお願いします。
【長谷川】
あくらビールの長谷川です。
一番最初の3社で集まる時に声をかけていただいた一人ですけども、岡くんは別にして三人の中で僕だけ5歳6歳と、航さんからは10歳も若い。会の中では非常に肩身が狭い中で(笑)
この会はこれから説明しますけども、東北は震災もあり、いろいろとやっていく中で今日という日が迎えられて、また皆さんにより東北を好きになっていただくようにこれから進めてまいりたいと思います。
【吉田】
ちなみにこの中で航さんを知らない方はいらっしゃいますか?
いないね。
【佐藤】
この東北魂というアイドルユニットのお笑いを担当しています、いわて蔵ビールの佐藤でございます(笑)
今は社長をやっていますけど、もとともとは醸造をやっていまして、今は孝紀くんと一緒にやっています。
この東北魂ビールをやりはじめたきっかけは後でお話ししますけども、僕ら東北もひとつになって美味しいビールを造っていきたい。それぞれのバックグラウンドがぜんぜん違うので、それを出し合ってやっていこうと。
なんだかんだ言ってリーダーは長谷川くんですので。僕はひきずられてやってくって感じでいます。
今日もすべてプロジェクターから何から準備してもらって、僕はパソコンだけ持ってこいって電話があったので、パソコンだけ持ってきました。
今日各社それぞれのビールと、東北魂の1stバッチから3rdバッチまで。
ほとんど外にはないやつです。
【吉田】
シングル魂ラストです。
【佐藤】
アップルジンジャーもラスト。
いぶりエールも長谷川さんところに無いですので、今日だけしか飲めないと思います。
あと、第4弾は5月中旬くらいにはお披露目できると思いますので、ぜひ楽しみにしていてください。
じゃあ、長谷川さんお願いします。
【長谷川】
いつもこの発表が終わると質疑応答になるのですけども、まず皆さん疑問に思っていることを先にお答えしようと。
Q.なぜ東北魂のブルワーは体が大きいのか
いろんな地方のブルワリーがありますけど、ここまで体の大きなブルワーが揃うのはなかなか無い(笑)
東北の特徴です。
これは、お米が美味しいからです。
ここからまともな話をします。
東北魂ビールプロジェクトとは
【佐藤】
東北魂ビールを始めたときは、長谷川くんと吉田くんに声をかけました。僕は8月にビールイベントをやっていて、その時に東北でも新しいビール造りをやろうということで。
最初は岩手でやろうと。岩手のビール会社に声をかけたんですね。
ベアレンさんとか銀河さんとか、一緒にやった時があるのですけど、やっぱり方向性とか企業規模が違いすぎて。その当時、10年くらい前だけど、なかなかうまくいかなくて。その当時、クラフトビールがあまり人気がなくて、販売会のほうが中心になってしまいました。
もっと品質的なものをやっていきたいとうことで、福島路ビールさんとは昔から技術交流をやっていたものですから。長谷川さんがいろいろと相談する時もあったので、3社が集まりながら一つのビールを造っていろんなディスカッションをしようよというのがきっかけで始まりました。
東北魂ビールという名前をつけたのは、ちょうど震災の後だったということもあるのですけど、僕ら東北らしいビールを造っていきながら品質向上をしていこうよと。
醸造技術の向上というのが一番大きいのですけど。僕いま43で、ビールを作り始めて15〜6年になるのですけど、最初の頃は、天通さんとかヤッホーの石井さんとかと一緒に教わっていました。
今は岡さんなど若い子たちがどんどん入ってきてます。特に宮城のブルワーが若いのかな。そういう子たちと一緒に彼らが勉強してきたことも聞きたいし、そういうのをやりながらやっていこうと。
それぞれが頑張ると地域ブランドとか地域作りにつながっていく。
面白いことに最初に声をかけた吉田さんも長谷川くんも、それぞれの地区でビアフェスをやっている。
そういうのもあって、岡くんもそろそろやるのかなぁと(笑)
それぞれのブルワリーはまだまだ小さいですので、僕も社長といってもビール部門は3人でやっています。
そんな中でそれぞれが、きちんとしたお客様にご迷惑をかけないように。独立していけるような。そういう意味で集まっています。
といいつつ去年から集まっては飲んで話をして、そしてビールを造るということをやっています。
アップルジンジャーIPA
Brewery:いわて蔵ビール
Style:フルーツIPA
Malt:エールモルト
Hop:ネルソンソーヴィン、モトゥエカ、ギャラクシー
Additional:福島産 紅玉&フジ、一関産 しょうが
IBU:63
Alc.:5%
【長谷川】
まずは第一弾ということで「アップルジンジャーIPA」。いわて蔵ビールさんで作ってますけど、実は僕が思入れが強いビールでして、それでご紹介させていただきたいと思います。
もともと、アップルもジンジャーも使う予定がなかったのです。
実は、福島路ビールさんと、いわて蔵ビールさんと、当社あくらビールとの大きな違いは、あくらビールには発泡酒の免許がないということです。
発泡酒の免許がないと副原料を使ったビールが作れないのです。僕がこの技術交流という名のもとに、ちょっといろいろと試してみたかったのです。
それで実は柚子を使いたかったのです。
柚子の北限はどこかわかりますか?一番日本の北は?
もともとは福島。信夫山(しのぶやま)という山で取れるのが柚子の北限と言われています。北限の柚子をぜひ使いたいと思っていたのですが、実はそれが使えないことがわかりました。
線量が高かったのです。
スタートしたのが2013年。ですから震災から2年経っています。表にはあまり出てきていませんけども、いまだに使えない。
【吉田】
使えないですね。山の横に本当に多くて。柚子はダメですね。
【長谷川】
柑橘系はとくに線量を含みやすいということで。もちろん他のものはきちんと検査されて出荷されていると思いますが、ちょうど斜面で採れたものをということですから使えませんでした。
急遽、柚子が使えないということになったので、地元のものを何か使いたいとなったときに、福島のりんごと、一関で生姜を作っている。それで、りんごと生姜を使ってIPAを造ってみようというふうにして造ったビールです。
一番最初に出した時はちょうど2014年の1月、東京ドームのふるさと祭で出しました。その時はりんごっぽくもなくて生姜っぽくもなくて、ちょっと濁りがあってということで、あまり名前とビールがあっていないとご指摘いただいたこともあったのですけど、一年半ほど経って今出ているものが比較的クリアな状態で少し感じていただけるのではないかというふうに思っています。
これは最後の樽になりました。
実は11月に秋田で「いぶりエール」というビールを仕込んだ時に残していたビールを皆で飲みあったのですけど、その時けっこういいよねという話になったかと思います。
前日からりんごをみんなでカットしたり。しょうがをカットしているのは吉田さんの双子の弟なのですけど、全然似てない双子の弟さんが生姜をカットしている。そういったかたちになっています。
第二弾は福島路ビールさんで造ったので、福島路ビールの吉田さんからお願いします。
シングル魂ラガー
Brewery;福島路ビール
Style:インディアペールラガー(IPL)
Malt:ピルスナーモルト、ミュンヘンモルト
Hop:ネルソンソーヴィン
IBU:59.5
Alc.:5%
【吉田】
この仕込みの時に、いわて蔵ビールの今は後藤孝紀ですけど、佐藤孝紀くんがちょうど結婚する前だったんですよね。シングル。ちょうど結婚する前のシングルということで。あと、ホップは、うちはネルソンを使ったことがないということで、長谷川さんにいろいろと教えていただきながらネルソンのシングルホップで造りたいということで、シングル魂というネーミングにさせていただきました。
この仕込みをやるときにみんなでレシピを考えながら、事前にいろいろ相談して、実際に糖化の話しとか、発酵の段階の話などは事前に細かく最後決めるのですけど、夏に向けて飲みやすい、苦味のさらっとあがる感じのビールを造ろうというとこで仕込みをさせていただきました。
どうしても、うちで仕込むと酵母の香りがちょっと強くなるんですけど、初めての技術やホップの使い方を勉強させていただきまして、造らせていただきました。
ちょうどネルソンを一パックそのまま使った感じだったので、苦味が強い感じになりました。うちだと果物を使った方がいいのかなというのもあったのですけど、ラガーを作る勉強ということで、フルーツを使わずに普通のピルスナー系を基準にということで仕込みを組み立てさせていただいております。
【長谷川】
ちょっと補足ですけども、佐藤孝紀さんといういわて蔵ビールの醸造長がいます。結婚する前ということでシングルという話だったのですけども、実はいわて蔵ビールさん、ラガースタイルは作っていないのです。エールしか作らない。彼は一度ラガーを作ってみたいけど、なかなか自社では今のラインナップだとラガーが作れないので、この企画で一度ラガーをやってみたいということで、ラガーを造ったというところも入ってます。
次は第三弾です。
あくらビールで仕込んだ「いぶりエール」。この話をいまから、何故か佐藤航社長にしていただきます。
第一弾の時は社長業に忙しくてマスコミ対応でした。第二弾は今の写真でもわかるとおり、仕込みの日は居ませんでした。初めてまるまる仕込みを一日中参加したというのが、この時が初めてだと思います。ぜひ、思い入れを語っていただきたいと。
いぶりエール
Brewery:あくらビール
Style:スモークブラウンエール
Malt:ピルスナーモルト、スモークモルト、カラメルモルト、チョコレートモルト、ローストモルト、糖類
Hop:リバティ
IBU:21
Alc.:6.5%
【佐藤】
はじめてビール醸造してドキドキしました(笑)どうやるんだろう?日本酒しかやってないのに。嘘です。
それは冗談なのですけど、この時から兜森ちゃんという紅一点の女性が東北魂に入りまして、ちょっとだけ華やかになったのですが、この時から岡さんという人も入りまして、重量級になってしまいました(笑)いろんな意味で栄養価が高いと思いました。
僕が凄く楽しかったのは、造り方。
東北魂のもう一つの目的は、それぞれのシステムが違うのですよね。
僕らのところは密閉されたタンクを使って仕込むのですけど、長谷川くんのところは日本酒の醸造みたいにオープンファーメンターといって、上が開いているのですよ。こういう(発酵中の)写真は僕らの工場では撮れないんですよね。麦汁を入れて上から撮っている写真なのです。
普通はここが密閉されているのですね。
あと、注目点は僕がまだ坊主だった。ビア坊主の会というのがあり立ち上げましたので、もう一度断髪式をしないと。
この東北魂ビールは必ず醸造する前にみんなでメールでやりとりしてます。
長谷川くんところは発泡酒免許を持っていないけど、せっかく秋田に行って醸造するのだから、秋田らしいビールを作ろうよという話で、何がいいかな何がいいかなと言って、結局僕ら安直なので、秋田といえばいぶりがっこだよね。
スモークエールを作ろうと。
ただその中で面白いのは、僕もやってなかったんですけど。うちはだいたいモルトとホップしか使わないんですよね。
ここに糖類ってあるのですけど、この時に砂糖をちょっと入れたほうが、度数が上がるというのもあって、ちょっと糖類を入れてみようと。
結構、各ブルワーによってやり方とか考え方とか違うので、この時はみんなでやって面白かったです。数年ぶりに麦芽のカスを取るという作業をさせていただきまして、よかったなぁ〜(しみじみ)
このビール、今は在庫がもうありません。結構造りたてのときも燻製の香りがして美味しかったのですけど、やっぱり時間が経って美味しいビールだなと。
いぶりがっこに合わせても美味しいんじゃないかなぁと。スモークにスモークみたいな感じでね。ほんとかよって感じですけどね(笑)
そんな感じで第3弾もやったのですよ。
この時にも僕の隣にいる孝紀ってのがね、十何年間一緒にやっているんですけど、よく佐藤兄弟って言われていました。この時点で後藤になってしまいました。
こちらの端っこは吉田兄弟。似てない双子だなぁっていつも思ってます(笑)
ぜひ、いぶりエールも飲んでみてください。面白いですよ。
実はみんなでビールだけじゃなくて、マーケティングもまじめに考えていて、いぶりエール⤴︎とフランス語読みしてくれというのが、この時コンセプトで決まっているのですよ。第三弾はフランス語でしゃべろうと。
第四弾もちゃんと意味があって醸造してますので、多分、岡くんがバンと言ってくれると思います。以上でございます。
【長谷川】
実はこの全員で写っている写真、だれが撮ったかというと、読売新聞の記者なのです。
それと誰とは言いませんけど、一生懸命仕事をしている風なのが。これはぜひ使ってくれと言われたので、この写真使ってます(笑)
【佐藤】
ちなみにですね、この時僕も居たのですよ。カメラマンは僕だったのです。ポスターにしたのですけど、どこ行っても僕だけ仕事してないように見えてしまう。
この時はカメラマンにお願いして、撮ってくれ。俺も入れてくれと。
ちょうど3月30、31日の仕込みですので、今仕込みたてのビールです。宮城県の角田市という、仙台からは一時間くらいちょっと南のところにあります。
仙南クラフトビールの岡さんから。
Summer-Blooming Ale
Brewery:仙南クラフトビール
Style:ベルジャンペールエール
Malt:エールモルト、小麦モルト、糖類
Hop;シムコー、ネルソンソーヴィン
IBU:30
Alc.:5.0%
【岡】
3月30、31日と打ち合わせと仕込みを行ないました。
仙南クラフトビール、造っているところが仙南シンケンファクトリーというところで、ドイツスタイルのビールを主に造っていたのですよね。
私が入ってからちょっとアメリカンスタイルのビールも造ったんですけども、基本的にドイツをやってました。
今までベルギー系のビールを造ったことがないので、ぜひやらして欲しいという話をしまして、今回ベルジャンペールエールを仕込むことになりました。
私はビール醸造に入ってちょうど1年半くらいで、まだどこをこうやったらああなるとか、ここをこうしたらこういう感じのビールになるとか、なんとなくはわかるのですけど、技術的なことがほとんどわからなくて。仕込みの時から、大先輩がたにやーややーやと言われました。
【佐藤】
言うほうは結構無責任に言うんですよね(笑)
【岡】
出来上がりは、春のけやき広場を目標にして発酵させています。
今日は仕込んだばっかりのホップが入った状態の麦汁を持ってきましたので、ちょっと苦いんですけど、皆さんちょっとずつ口にしてみてください。
苦味を付けるのがシムコーというホップで、香り付けにネルソンソーヴィンを使いました。また、スッキリさせたいボディにアルコールを上げるために糖類を今回は使っています。
ビールの名前は「サマーブルーミングエール」と、夏の間に花がふわっと開くような意味合いを込めて造りました。
で、テーマソングがこれは決まっておりまして、渡辺美里さんの「サマータイム・ブルース」がテーマソングです。このあと、たぶん吉田さんのほうから一曲あると思いますので、皆さんご静聴のほどお願いします(笑)
【吉田】
いやいやいやいやいや(苦笑)
【長谷川】
仙南クラフトビールさんと、福島路ビールさんは同じ仕込み装置です。同じ会社の仕込釜を使っています。とくに福島路ビールさんのやりかたが、仙南クラフトビールはためになるという話があります。
造っている量は仙南クラフトビールの10倍じゃきかない量を福島で造っているんですけど、そういったところで新しい技術だとかテクニックを学んでいこうと。
【佐藤】
岡さんはビール造りは一年ちょっとですけど、ずっと味噌醸造をやっていました。同じ醸造会社で。詳しいですよ仙台味噌。次は味噌ラガーを(笑)どっかで聞いた、名古屋のほうで。
ということで、本日ラインナップされている東北魂ビールと今後製造される予定のビールでした。