サン・フーヤン醸造所(Brasserie St-Feuillien)は、1873年創業のフリアー(Friart)家による家族経営のブルワリーです。もともとはフリアー醸造所(Brasserie Friart)という名前でした。1998年まで11年間休止していましたが、2000年に代表銘柄であるサン・フーヤンに名称を変更し、今に至ります。
ブルワリーはエノー州(Province de Hainaut)のル・ルゥ(Le Roeulx)にあります。
アイルランドの修道士フーヤン(Saint Feuillien)が655年、キリスト教を布教するためにル・ルウ(Le Roeulx)を訪れた際、強盗に襲われ殉教しました。信奉者たちは礼拝堂を建て弔います。1125年にはプレモントレ派(Prémontré)の修道院が建てられ、修道士たちによるビール醸造が行われました。フランス革命後の1796年にル・ルウ城(Le Rœulx Castle)の敷地内にあった修道院は破壊されてしまいます。
1873年、フリアー(Friart)家は伝統的な修道院ビール(Abbey beer)を造り続けていくため、ステファニー(Stéphanie Friart)とその夫がル・ルウ(Le Roeulx)の地にブルワリーを立ち上げます。1920年には1893年に建てられた旧醸造所に移ります。
地下65mから汲み上げた鉄分を含む硬水を使用し、ハウスイーストを用いて瓶内二次発酵を行う伝統的なビール造りを行っています。
ビール造りに使う水を変えることを嫌い、新醸造所を旧醸造所の隣に建設ました。2013年から新しい設備でビール造りを行っています。
年間生産量は40,000HL(4,000kL)。65%は国内消費で35%を世界30ヶ国に輸出しています。
初代 ステファニー(Stéphanie Friart) 1873年〜
二代目 ブノワ(Benoît Friart) 1910年〜
三代目 ブノワ(Benoît Friart)(二代目の息子)1950年〜
四代目 ドミニク(Dominique Friart) (二代目の娘)&ブノワ(Benoît Friart) 1980年〜
現在のヘッドブルワーはアレクシス(Alexis Briol)さんで、三代目のブノワさんの頃から一緒に働いています。サン・フーヤン ブロンド(Saint-Feuillien Blonde)以外の全てのビールのレシピを設計し、サンフーヤン独特の味わいを造りだしています。
伝統的なビールだけにこだわることなく、アメリカのGreen Flash Brewingとコラボレーションしたビールを造りなども行なっています。
St-Feuillien Blonde | Belgian Strong Ale | ABV 7.5% |
St-Feuillien Saison | Saison | ABV 6.5% |
St-Feuillien Brune Réserve | Abbey Dubbel | ABV 8.5% |
St-Feuillien Triple | Abbey Tripel | ABV 8.5% |
St-Feuillien Cuvée de Noël | Belgian Strong Ale | ABV 9.5% |
Car d’Or | Belgian Ale | ABV 6.5% |
Grisette Blanche | Witbier | ABV 5.5% |
Grisette Cerise | Fruit Beer | ABV 3.5% |
Grisette Fruits des Bois | Fruit Beer | ABV 3.5% |
Grisette Fruits des Bois | Fruit Beer | ABV 3.5% |
Belgian Coast IPA | Belgian IPA | ABV 7.5% |
note
2日目の朝はブリュッセル南駅で先発メンバーと合流し、国鉄でソワニエ(Soignies)駅まで移動。サン・フーヤン醸造所のエクスポートマネージャーであるPierre HansenneさんとBlandine Colinさんに迎えに来ていただき、サン・フーヤン醸造所へと向かいました。ル・ルウ城の横を通過しブルワリーに到着。
はじめに旧醸造所を案内していただきました。
昔ながらのブルワリー設備は重力に任せて上から下へと醸造行程が進んでいきます。
攪拌装置が付いたマッシュタンや、水を通したパイプの外側に麦汁を流すことで冷却するペリーゼング式(Berieselung)麦汁冷却機など前世紀の醸造設備が残っていて、数年前まで使われていたそうです。日本でも遥か昔使用されていたようですが、実物は初めて見ることができました。
新醸造所は旧醸造所と同じくMEURA製の設備を使用しているそうです。100年の時を超えて醸造設備は大きく進化しました。ブルワリーのコントローラはPROCAT。
旧醸造所に比べると、規模が凄く大きくなっただけでなく、発酵タンクは横長のものを使用しているのが特徴的ですね。
小瓶は別のところで詰めていて、ブルワリーでは大瓶のみ詰めているとか。
9Lのボトル詰めは初めて拝見しました。ボトルは横に積み重ね、セラーでしっかり三週間ほど二次発酵して出荷されます。
テイスティングルームでは各種ビールを飲ませていただき、ヘッドブルワーのAlexis Briolさんも来られて楽しいひと時を過ごさせていただきました。
昨年9月に内幸町にある「フィルデジュール〜au Fil des Jours」にてPierreさんの来日イベントが行われた際に、ブルワリー見学をさせていただけないかとお願いしたら、快く受け入れてくださいました。ありがとうございます。
また、ブラッセルズ(Brussels)の藤田さんにも大変お世話になりました。
brewery information
Brasserie St-Feuillien
Rue d’Houdeng 220, 7070 Le Roeulx, Belgium
photos
- サンフーヤン醸造所
- 中庭
- 旧醸造所の最上階
- モルトミル
- 麦芽投入口
- Mouterij Dingemansの麦芽
- ペレットホップ
- 麦芽とホップ
- 麦芽をかき混ぜる鋤
- 各サイズのボトル
- 撹拌装置付きマッシュタンの説明をするBlandineさん
- 鋤の使い方を説明するPierreさん
- 麦汁濾過
- 駆動ベルト
- ベルトと歯車による駆動
- 煮沸釜
- 煮沸釜
- 発酵タンク
- 歯車
- マッシュフィルター
- ベリーゼルング式(Berieselung)麦汁冷却機
- 取水エリア
- 新醸造所
- 高さを抑えた発酵タンク
- 発酵タンク
- SFBF
- 配管パネル
- 発酵タンク
- PROCATのコントロールシステム
- CIP
- CIPパッチパネル
- 樽詰め設備
- 9Lボトルの箱
- 9Lのボトリング
- ボトル後にコルク詰めを行う
- ボトリング後は横にして二次発酵へ
- 二次発酵室
- ボトル&グッズショップ
- テイスティングルーム
- Cuvée de Noëlのギフトボトル
- Tripelのマグナム、3L、9Lボトル
- 小瓶は4本パック
- St-Feuillien Cuvée de Noël
- St-Feuillien & Green Flash / Belgian Coast IPA
- Grisette Blanche
- ヘッドブルワーのAlexis Briolさんと麦雑穀工房マイクロブルワリーの鈴木等さん
- St-Feuillien Saison
- Grisette Cerise
- Grisette Fruits des Bois
- Grisette Blanche
- St-Feuillien Grand Cru