ブリュッセルビアプロジェクト(Brussels Beer Project)は、ベルギーのホームブルワーだったセバスチャン(Sébastien Morvan)とオリビエ(Olivier de Braunere)が生化学や醸造学を学び、2013年初夏に立ち上げた新しいブルワリーです。
テイスティングイベントを開き4種類のプロトタイプから参加者の投票によって選ばれたものを定番商品にするというユニークな方法をとっています。いままでに定番化されたビールとして、2013年に800人の参加者から選出されたデルタ(DELTA IPA)や、2014年に1000人の参加者から選出されたグロスバルサ(GROSSE BERTHA)などがあります。
2016年春にはベルギーのみならず日本でもテイスティングイベントが行われました。4種類のセッションエール(ROUGE/GROEN/GEEL/MAUVE)の中から2000人を超える参加者の投票により赤色のMAUVEが選ばれました。その後、商品名も投票を募って「RED MY LIPS」に決まりました。
他にも、興味深いバビロン(BABYLONE)というビールがあります。ベルギーの首都ブリュッセルで廃棄される食品のうち12%はパンなのです。これをなんとかしようとして、古代バビロニア王国でパンから造ったビール「シカル」をヒントに誕生したビールです。
ベルギーの大手スーパーDalhaizeの協力により入手したパンを薄くスライスし、90℃のオーブンで一時間加熱した後に粉砕してビール造りに使用します。リサイクルしたパンを使うことで、麦芽の使用量を30%削減することができました。
ブリュッセルビアプロジェクトでは、クラウドファウンディングプロジェクト#BeerForLifeを通じて投資を募っています。
クラウドファウンディグの見返りとして「生涯に渡って毎年12本ずつビールを貰うことができる」という特典があり、初回は369人が投資しました。二度目のクラウドファウンディングは、ドイツから醸造設備を購入しブリュッセルにブルワリーを立ち上げるために行われ、1000人以上の投資者が集まりました。今年の年始にも3度目のファンド募集が行われています。
2015年10月24日、ブルワリー兼タップルームをブリュッセル市内のアントワーヌ・ダンサエール通り(Antoine Dansaertstraat)沿いにオープンしました。その場所は1914年頃に閉鎖されたブレディアル醸造所(Brouwerij Bredael)があった場所だそうです。
設備の導入に60万€、建物の改修に20万€を費やしました。
10HL(1000L)の発酵タンクを複数備え、地域のビールコミュニティーと共にユニークなレシピでビール造りを行っています。
年間生産量は2500HL(250kL)とのこと。
ブリュッセルビアプロジェクトでは使用している原材料を全て公開し、ブルワリー自体もオープンにしています。
伝統にとらわれず、クラフトビールのカルチャーを取り入れたブルワリーです。
定番ビールについては、ブリュッセルの東側のハーレン(Halen)という町にあるアンダース醸造所(Brouwerij Anders!)に委託醸造しており、商業生産とユニークレシピに基づいたビール造りを共存させています。